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2005年04月02日
【回顧】日経賞 BY 京介
3月も末になり、すっかり寒さも失せ、関東では桜も咲こうかと言う季節になってきました。
現場の方も朝方は強く風が吹いていたんですが、午後からは穏やかな気候で、
日経賞開催の3時過ぎは厚着をしてるとむしろ少し蒸し暑いか、そんな印象でした。
今年の日経賞は天皇賞春の前哨戦と言う位置づけもあり、
これから上がり目がさらに見込まれる年明け4歳馬…
天皇賞へ向け必勝体制のコスモバルク、菊花賞3着のオペラシチー、
この冬一気の上がり馬のトウショウナイト。…が人気上位を占める形でしたが、
勝ったのはここ2年以上重賞連対どころか勝ち鞍のなかった8歳馬のユキノサンロイヤルでした。
決して馬の限界などは容易に固定されることはなく、また人間が馬に対して感じている身勝手な思惑などは
競馬と言う現実の前に斯くも儚いものかと思わされます。
展開上、前で目標になるべきコスモバルクの自滅や出走馬の大半が瞬発力適性のないメンツ、
そして本日芝レースでは1番枠が全連対していた極端なトラックバイアスなど、
ユキノサンロイヤルにとって大いに恵まれる背景があったにせよ、
この相手に勝ちきったのは実際驚きです。
このクラスにおいてもまだ、単純能力だけで勝ち切るのは困難だと言うのが実際なんだということでしょう。
コスモバルクが確かに強い馬で、ここを勝たないといけないから、
『だからと言って競馬を行う以上それがどうしたんだ』と割り切って
現実に目の前で行われる競馬を見つめないといけないというのは思いました。
今回感じたのは、中山競馬場の馬場に今期はかなり極端なバイアスが掛かっている状況で
結構際立った適性を求められた上での競馬が行われていて、
全ての馬が力を出し切る競馬よりも、大半の馬が能力を削がれた上での適性争いをしていたものですから、
現実の競馬はドラマや物語性を一切排除した上で行われる冷徹なものなんだなあとぼんやり思ったんです。
もちろんこういった構図は、マスコミ側での人気先行を覆して
ほとんど思惑から外れた人気薄の馬がある要素を手掛かりに激走する構図に他なりません。
コスモバルクやオペラシチーは今回かなりわかりやすく負けましたが、
そういった危険を事前に察知するような予想をしたかどうか、
あるいはスムーズにそういう人気否定の手順を踏めるような考え方をしてるかどうかは
念頭に置いて物を見るべきでしょう。
ただ、オペラシチーは天皇賞を獲るというような馬であれば、
多少適性向かなかったとしてもそんなもの簡単に覆すような競馬をして勝ってほしかったのはありますね。
京都に行けば随分条件は好転するでしょうが、
まだ相手ナリに適性の上げ下げで勝ち負けしているレベルの馬でしかないのは事実でしょう。
それよりもそういう競馬をして差してきたオペラシチーを突き放したトウショウナイトの方に興味があります。
中山の芝をもう一度振り返ると、
Aコース連続使用ながら結果として内枠断然有利が続いていますが、
道中は結構砂埃が舞うようになっていて見た目にもボコボコし始めています。
しかしそれでも、クッションかスプリングが利くような印象で、
上がりタイムがなかなか落ちませんし末脚が上手く嵌ります。
その上で短距離でも道中は緩み気味のラップのレースが続いている状況から推測するに、
かなり道中の馬場が荒れているのでしょう。
なので馬場が絶好だから内が有利、というのではなく、
道中で脚を使うような競馬をするともうそこでかなり余力を使ってしまうので、
逃げの競馬や早め捲りの競馬=仕掛けの早い戦法だと脚を殺されてしまう分、
馬込みの中で直線ギリギリまで脚をタメてからの末脚一気がバンバン届いてしまうというように思います。
そういう意味で道中極力ロスなく運べる最内枠(ひょっとしたらラチ沿いだけは補整も利いているかも)
が極端に有利になっているんでしょうね。
そういう前提の下で今回の日経賞をラップ毎に見直してみると、
パンパンの馬場でレコードが出るような馬場状態だと
多少掛かってもコスモバルクのスピードは削がれませんから信用してもいい馬にしても、
道中下手に動くと絶対ダメな馬場状態で2500mの距離。
これを最初から鞍上が抑えきれず、しかも2周目から先頭に立ってしまい
中山の向こう正面の下り坂で変に勢いが付いてしまって11秒台のラップを連続して刻む流れ。
この距離はまともに掛かったらもちろんアウトですし、
さらに泥沼で足を掴まれるような競馬をしたわけですから、掲示板残せなくても内容からは当然と言えます。
先行馬がほとんどおらず、相手関係だと前有利のメンツに見えましたが、
コスモバルク1頭だけでズブズブになりやすい競馬を作ってしまいました。
この内容だと、先団で早めに脚を使ってしかも最後まで残したという馬の方が評価できます。
仕掛け遅らせて差し負けしてるオペラシチーはそういう意味で正直感銘受けませんし、
逆に前に行ってコスモバルクに多少でも付いて行った馬をOP戻って見直してみたいですね。
3角より前から捲って大バテしたプラズマなどは格上挑戦して相当無茶な競馬して見せ場作ってるので、
これは現時点の力量やまだ途上の体考えると褒めてもいいと思いますね。
1着:ユキノサンロイヤル
柔らかい筋肉してて踏み込み深く大きな歩様。8歳馬で使い詰めだが衰えはなく引き続き好調維持している。
相対的に見れば小柄な方で、この中に入れば明らかに脚が速い。脚元も全く問題ない。
レースではいつものブラブラに出ての後方待機。先団での無茶なやりとりを2周目後半まで傍観。
3角過ぎから外を捲るように馬場の5分ほどを上がっていって、
オペラシチーの外から被せるように外からジワジワ伸びていく。
先に出ていたトウショウナイトとゴール寸前で首の上げ下げに持ち込み、最後ハナ差首が下がった。
有馬記念で一応の持ち時計を示していて、さらに体全体を使って走るタイプなので荒れ馬場・重馬場相当得意。
いろいろ流れや適性が向いたにせよ、経験の浅い馬に対し強敵古馬を相手にやってきた貫禄を示した内容と言える。
直線急坂のあるコース、小回りの荒れ芝。そして前が潰れやすい展開が揃うこと。
ここまで計算が立つ条件が揃えば重賞でも何とかできる馬。
それにしてもここ数年、条件戦どころか重賞戦線でも高齢馬の活躍がかなり目立ってきた。
馬を長く持たせ、筋肉や体を若く保ち使い減りさせない技術も進んできたということだろう。
俊敏さやスピード勝負ではさすがに若い馬にはかなわないにせよ、
こういったスタミナ争いになるレースではまだまだ鍛錬の蓄積・年の功を軽視してはいけないということだ。
2着:トウショウナイト
比較的胴長い方だが骨格・トモがかなり確りし、
昨年冬場の条件戦の頃に比べると数字通り相当大きく見せている。成長感じる体。
両前のソエは固まってそう。
好位のチョイ後ろのいつものポジション。3角過ぎでプラズマと同時に捲って出て前に接近、
残り300mから先頭に出て手応え最後まで落ちずに踏ん張ったが、外の強襲にゴール寸前で交わされた。
コスモバルクを最初に捕まえに出て勝ち負けまで踏ん張ったのだから、強い内容を示している。
とにかく、今の時期でも大いに成長の度幅を見せているのが強み。
以前は細さが目立った体も、今回はかなり大きく見せトモ幅も確りしてきた。
ここ2戦展開の綾で後方強襲にやられてはいるが、
強気の先仕掛けで一番強い競馬をしてる安定感は今後も評価できていい。
体の弱い時期とはいえ以前は2000mで差し負けばかりしていた馬なので
あまりスピード馬向きの番組は陣営も出さないと思うが、
全身を使って力強く走り、しかもバテないというタイプ。坂コース向き。
3着:オペラシチー
四肢もそうだが繋も長い。肩の位置が他より少し高い。それでいて持て余すような所はなく踏み込み良し。
やや余裕感じる仕上がりだが、十分体は動くしまだ上積み見込めそう。
ゲートは出はしたが後方へ下げる。コスモバルクが前に出た2周目から中団に押し上げて待つ形。
4角外から手応え良く上がって行ってるが、
ユキノサンロイヤルに外から被されて勢いで負け、直線で内に押し込められる体勢を覆せない。
手応えは残ってるが差し返しきれずに流れ込んでの3着。一見、不完全燃焼。
道中見ても跳びはかなり大きい方。直線では伸びてはいるものの俊敏さで負けたという印象。
中山のコーナーと坂の配置だと一度差し直す格好になる分、坂で加速する力が必要だがその差が出た。
後方からいい脚使うよりも早めに前に出て前走のようにバテない強みを生かした方がいいように思う。
現時点では素早さが全くないために競馬が難しく勝てる番組選びに困難を極めているが、
もう一回り馬体に成長が出た次にどういう競馬ができるかだろう。
6着:コスモバルク
張り艶ビシッと仕上げて出てきて、前走が変におとなしかった分いい頃のチャカ付く感じが出たのは良さそう。
箱型のスピード馬。トモ確りしてる。ただ3歳時よりさらに大きく見せる、というようなことはない。
3歳時G1戦線好走してた時もずっとだが左前の骨瘤もまだあるし、相変わらず前脚結構痛がって歩く。
今回から鞍上交替、そしてJC時装着のノーズバンドを外した。リングハミはそのまま。
ゲート出た直後からずっと掛かってしまい、手綱を思いっきり引っ張ったまま1周目ゴール板を過ぎる。
鞍上が観念したのか1角過ぎから先頭へ抜けて出て、馬ナリのハイラップを刻んで進むが、
前半の消耗が祟った分か直線並ばれてから二の脚が出ず、坂ではもう踏ん張れず後退。自滅。
今回の負けはこの馬に内在するいくつかの問題点を指摘できそうに思います。
今までは何らかのラッキーと陣営の努力が実って結果が出続けていたので表面化してなかったんですが、
ちょっとどうしようもないぐらいの掛かり癖/気性難があって、
それは長距離クラシック路線を選び続ける以上容易に解決出来る問題でもなさそうなこと、
またスピード能力に任せて勝手な競馬を推し進めるだけだと
今の時期(古馬扱いされて以前の古馬と同斤の57kg)状況設定によっては他の馬が間に合ってしまう、
勝ち負けに絡むには3歳時からの上積みが何か必要だというのに
それがかなり重い課題としてのしかかっているということです。
端的にいえば3歳時と同じ体つきのままだと斤量分考えると古馬戦でキツイし、
同じ4歳同士でも古馬になって成長してきた馬にやられてしまうぞということ。
どちらかというとヌレイエフ系よろしくこの距離では筋肉が硬めで
体つきがカチッとまとまったスピードタイプの馬で、
早くからのハードトレーニングによって早熟先行差で3歳春までを圧倒してきた同馬にとって、
新しい形の成長を望むのが現時点で難しいのではと言う危惧です。
(もちろん最強馬への道はそういった常識を超えてこそのものではあるんですが…)
あるいは思い切って短い路線への変更か、逃げに戦法を固定するとか、
ハナから長距離輸送が必要になる環境そのものを大幅に変えてしまうといった
競馬に取り組む前提条件をひっくり返すような荒治療が必要なのではないでしょうか。
11着:プラズマ
脚長めで骨格確りも毛艶一息、張りももう一つ欲しい作り。右前裂蹄テープ巻いている現状での格上挑戦。
徐々に腰つきが良くなると同時に幅も出てきてるが、
蹄を痛めてもう一つ厳しい調教を詰めないためか現時点では良化スロー。
素質は見劣りしないだけに春以降の変身を期待したい。
他が出脚悪かった分、相対的に先団チョイ後ろで上手く折り合う形。
コスモバルクが掛かるのを見つつ向こう正面から一気に勝負を賭けに出るが、
4角までいい勢いだった所が直線向いて急にアラアラに。そこからは息が持たず。力負け。
投稿者 kyo : 2005年04月02日 07:31
