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2005年04月30日

【回顧】マーチS BY 京介

中京高松宮杯の裏番組とは言え、週明けの登録頭数が何と43頭。
実はハンデG3とは言え、出走馬の中には前走フェブラリーSなどG1路線に出ていた馬もいて、
中距離ダート路線においてかなり重要なポジションのマーチS。
条件戦上がりのタイキエニグマが1番人気になりましたが、
今年はクーリンガーが貫禄を見せる形になりました。

翻っての日曜なんですが、この日中山競馬場はまるで春一番かというぐらいの神風が吹きました。
直線追い風方向に旗棒がしなるぐらいの強さ。ほとんど向こう正面は風で馬群が押される格好になり、
当日の中山の競馬はほぼ全レースが中盤緩むスロー。
ダートは風に負けないパワーがある先行馬がそのまま押し切るのと対照的に、
馬込みの中にいた馬はほとんどが仕掛け所で詰まっていて、
しかも前日のダートに比べて後半4Fの上がりが軒並み1秒は速い変な流れに戸惑っていたと見えます。
それを踏まえて詳細に見ていくと、今回のマーチSはなかなか特殊なレースになったと言えます。
結果として最後方の追い込み馬と2〜3番手の先行馬、
両極端の脚質が同時に連対したサンドイッチ現象を作りました。

しかし今回59kg背負わされたユートピアが何だか煮え切らない直線の伸びを見せつつも、
普通にその実力を素直に発揮して3着に粘ったことをキーポイントとして考えると、
大半を占めた中山未経験馬が実は全て負けていて、
勝ち鞍のあるビッグウルフとカフェオリンポスも調子悪くても適当に好走してますし、
クーリンガーとサミーミラクルも実はちゃんと中山勝ってたというカラクリでした。
サカラートが相手に合わせたなりに適当に走っただけで、
その他の馬は何らかの理由で中山がそもそも合わないかでしょう。
(タイキエニグマはその中で実力出すまでもなくただ単に凡走しました。)
そもそもが中央4場の中ではあさっての方向の適性が必要な特殊な中山なのに、
なおかつ当日に変な要素がもう一つ組み込まれてしまってて、
結局まずそもそも中山で走れる馬でないと流れに乗れなかった。
そういう結論に落ち着いていいかと思います。

その意味ではあまり先に向けての評価はしづらいレースになりました。
ほとんどの馬は変な流れにやられたという結論で済みますし、適条件戻ればの判断でいいでしょう。
連対2頭に関してはかなり広い意味で中山に向いていると言えるので、
まず確実にその後中山でもう一度穴を開けるでしょう。
ブラックコンドルが馬として思ったより貧弱だったのと、
ハードクリスタルが負けすぎなのが少し気に掛かります。
タイキエニグマはもっと体がパンとしてから舞台に立つべきです。
揉まれ弱いとは思ってましたが、それ以上に負け方が脆いのは踏ん張ってこそのダート馬としてちょっと…。


1着:クーリンガー

かなりの腹ボテ体型。肉付き確り、張り十分。重厚感ある。
以前見た頃よりも随分脚元良化していて、踏み込みも確りしてる。
ゲートもまともに出て、すぐに先団2頭に取り付きに掛かる。道中は併走の形で抑え気味。
やはりズブい馬らしく3角辺りから鞍上の手が相当大きく動くが、これでこの馬は脚が続く。
直線でユートピアに手応えギリギリの感だが並び掛け、さらにそこから突き離す勢いに乗る。
サミーミラクルの急追を何とか押さえきった所がゴール。
地方は何度も重賞勝ちがあるが、今回が中央重賞初制覇。

腹ボテ体型で大跳びの大型ズブ馬で、本来は上がりの掛かるスタミナレースの方が持ち味生きる。
府中や阪神などのキレ勝負よりは深い砂や道中Hペースで前残りなど体力勝負になりやすい条件の方が良く、
東京大賞典で3着に残れるのはやはり伊達ではない。
そういう意味では上がり馬キラーとも言えそうだ。
変に使い込まないうちは衰えも出ないタイプだろうし、来年も出走すれば期待してみたい一頭。


2着:サミーミラクル

腹ボテでトモ確り。相変わらず所々冬毛がちらほら見え毛艶一息ながら柔らかさは保っていて体つきは良い。
相変わらず前脚のソエも目立つし、骨瘤も平行線。しきりに気にするように歩く。
前半は出脚争いを避け、ポツンと最後方待機。先団が動いていても仕掛けをやや遅らせる。
4角出口で大外を回ってきて、直線ようやくエンジン掛かると流れ(追い風)に乗って凄い脚を見せる。
クーリンガーに並びかける所まで行ったものの、僅かに届かずの惜しい2着。
ただ斤量考えると相手が一枚上手だった。

この中に入ってもやはり腹目が目立つ馬で、阪神の高速馬場で上がり勝負するよりは
相対的に中山の深い砂で渋太い脚を使った方がいいタイプなのだろう。
他場でも重賞クラスでそこそこ勝負できる馬だとは思うが、今回は中山経験が生きた。
今開催、鞍上も追い込み決め打ちで相当嵌っている。


3着:ユートピア

全体に細身ながらフックラ見せ、引き続き好調そう。少し背中短く、四肢大きく開いて歩く。
両前のソエは固まっている。
ゲートの出が良く、すぐに前取り付きに行くが逃げ馬のすぐ横で抑えてのハナ併走の形。
相手に楽をさせずに自身は楽でいて、3角から先にパスして行く。
しかし4角でも持ったままなのに直線逃げ馬の抵抗を抑えたものの、外差しの勢いに抵抗する余裕がない。
結局クーリンガーに盛り返す所のないままゴール。
59kgも利いてるかもしれないが元から追い比べすると甘い。

過去に芝重賞好走歴もあり、ダート馬にしては細身でバネの利くタイプのスピード型。マイル体型。
パワーがない分消耗戦で追い比べしてもあまり味がないので、
相手に合わせての競馬よりも自力でペース握った方が持ち味が出る。
そういう意味ではこのハンデが物理的に厳しすぎる所もあったと思うが、
本来の適条件でもない場所で見せた今回の内容も、G1馬なりの実力は見せていると見る。


4着:サカラート

腹目にトモ確りし、メリハリ良く毛艶上々、箱型で全体的に歩幅狭い。
出脚も良く、先団3頭の真横から先頭も見える位置で抑えつつの競馬。
流れに乗りながらも内の3頭より外を回る形で4角を回り、
直線同じ位置からの追い比べになっても道中と走りが変わらず勢いが付き切れない。
大バテもしてないが流れ込んでまでの4着。

ストライドが大きく開かず、あまり走りに遊びがない馬に思えた。
小さめの可動域で硬く硬く走り、大幅な緩急に対応できるような柔らかさがないので、
こういった消耗戦だとワンペースな動きに見えるようになる。
今回は外を回らされたこともあるが、斤量有利なのに勝ちに動けない限界や、融通のなさは垣間見える。
脚抜きのいいダート、あるいは壁作って道中押さえが利く内枠、もっと短い距離や小回りなど、
一瞬の脚を使い切るような展開がベストだろう。


5着:カフェオリンポス

腹ボテで筋肉質も、もう一張りが出ないままでずっとずんぐり。
前脚にバンテージ巻いてるが、その中身はずっと怪しいまま。球節も腫れたままだし踏み込みもユルユル。
出脚は案外付かずに道中は後方。3角手前からの勝負所も結構手が動いている。
直線で画面中央に映ることはなく、他よりもバテてない分渋太く最後まで脚を伸ばしての掲示板入着だが、
勝負圏内には全く絡めず。手応えは残ってるがスピード負け。


7着:ブラックコンドル

短めの胴に比べ脚長め。トモは確りしてて張りもあるが小ぢんまり見せる。
手先の素軽さは感じるが硬い印象の方が先行した。全体的に幅の薄いスピードタイプか。
極端な腰高でもないのにかなりゲートが良くすぐ二の脚付くタイプ。
3角まで淡々と進むが、ユートピアの仕掛けに瞬時に反応できずようやく押して抵抗する格好。
直線向くまでに一旦盛り返すかに見えたがそこまで。最後は流れ込んだだけ。力負け。

体型で言うと中京向き。パワータイプでもなく、中山の急坂を力で押し切るには体の幅が足りない印象。
スピード生かす条件の方が良さそうだし、中央の重賞だと活躍できる場所が限定されそうだ。
差しに回っても手先が効率よく回る仕組みになってないのであまり味はないだろう。


12着:タイキエニグマ

葦毛でも張り艶良く見せ、腰など節々にまだ緩さ感じるがかなり筋肉と歩様が柔らかい。好調維持。
左前脚の膝に大きく腫れた跡が固まってるのと、右前に骨瘤。
今回はたまたまゲートの二歩目が悪かったが、二の脚で即2番3番が先行体勢に入った内を取りに行き、
道中は絶好の4番手の内。道中は前を壁にして楽に進めるポジションのはずが、
3角手前辺りから押しても置かれ気味に。直線向いても盛り返す場面すらなかった。惨敗。

今回、この馬が人気になる分としては確かに体のバランスもいいし勝った内容が良いので理解できるが、
それにしては逆に重賞戦線戦ってきた相手を低く見すぎてやしないかと言う部分が現象として気になった。
確かに芝戦線に比べて鍛錬に耐え使い減りしない馬が上位に留まりやすいダート戦線は新陳代謝が遅く、
新興勢力に過剰に期待しやすい部分があるのかもしれないが、
中山のJCダートでアドマイヤドンやゴールドアリュールでは足りず
イーグルカフェが勝つようなのが中山なのであって、
スピードだけではない要素こそが中山の重賞の壁を乗り越えるために必要なものであると言うことだろう。

投稿者 kyo : 2005年04月30日 00:25